らいぞーの映画館的生活

ホラーが好きです。

平成生まれから見た『呪怨 呪いの家』感想。現実のフィクション感とドラマの現実感

7月3日からNetflixにて公開された「呪怨 呪いの家」を見たので感想を書いていこうと思う。

ネタバレなしで作品を語れるほど文章力もないので当然ネタバレありです。

 

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作品の概要

「『呪怨』は実際に起きた事件を参考に作られた。

それらの出来事は、ある一軒の家に端を発していることがわかった。

だが実際に起きた出来事は映画よりはるかに恐ろしいものだった。」

この文言で始まるドラマ版『呪怨 呪いの家』は、オリジナル版『呪怨』をフィクションであると明言した上でその元となった話を語っていくという作品になっている。

 

大まかなあらすじ

・1988年:心霊研究家の小田島は若手タレントのはるかからカセットテープを受け取る。

そのカセットテープには彼女の部屋で何者かが駆け回っている足音が録音されていた。

はるかは足音を怖がり、今は恋人の哲也と暮らしているが哲也の様子がどうもおかしい。

哲也曰く、最近ある家に行ってからおかしなことが起こるように。

一方、家庭の事情で季節外れの転校をしてきた聖美。転校先の学校で同級生2人に肝試しと称して「猫屋敷」と呼ばれる空き家へむかうことに。

「猫屋敷」、哲也の言った「ある家」。

この家の謎を解き明かすべく、小田島は調査にのりだす…

というのが本作の大まかなあらすじであり、オリジナル版の呪怨のように、複数の出来事がぐちゃぐちゃな時系列で進行していくので少し話が分かりずらいところがあるかもしれないが、それによって次の展開がより気になり、3時間があっという間に過ぎていった気がした。

呪う家と呪われた平成初期

本作の斬新な所は、事件の発生した時期が明確に描写され、同時期に起こった凄惨な事件や事故がテレビでニュースになっていたり、本編のモチーフになっている所だと思う。

特に調べたりはせず自分が知っている所だけ書き出してみても

これだけの数になるので、呪われているのはどうも家だけではない気がしてきた。

特に東京・埼玉連続少女誘拐殺人事件は、自分も昔興味を持って調べていた時期があったため、本編で柄本時生さんの演じる宮崎勤をモチーフにしたであろう人物が出てきた時には、役者さんの演技力も相まって得も言われぬ気持ち悪さを感じた。

話は変わるが、自分はこの時代を生で体験した世代ではない。

このドラマの見どころのひとつとして、「呪いに侵された人たちの凶行」というのがあると思うが、平成も中期に生まれた自分にとっては、これら現実に起こった事件のほうがよっぽど脚本家によって描かれたフィクションなのではないかと疑ってしまうくらいにこの時期の事件は凄惨なものが多い。(特に神戸連続児童殺傷事件=酒鬼薔薇事件は事件後の警察の対応も含めて本当にあったのか?と思うくらい。)

この実録ドラマ的な時代背景の描き方こそ、このドラマの最も斬新であり、怖ろしい所だと思う。

 

小田島とこのドラマの担う役割

このドラマは複数の登場人物の視点で描かれてはいるが、どこか小田島が主人公のような役割を担っているように思える。

小田島は劇中で理由は釈然としないが心霊現象をまとめ、それを本にして出版する仕事をしている。あの家に住んだことのある人間の中で小田島だけが生かされているのは、おそらく小田島が呪いの家のことを外部に知らせる「メディア」としての役割をもつからだろう。

 

そう考えてみると、このドラマでテレビが猟奇的な事件しか映さないのも、事件が明らかに現実をモチーフにされているのも、全てはこの時代の凶悪な事件を知らない世代に知らせるという役割を担っているからのような気がしないでもない。

このドラマも平成初期という混沌とした時代を伝えるために作られたのかもなー、とか思ったり思わなかったり。

 

おわりに

なんか新しくブログ開設したからと思ってそこそこ気合入れて書いたらめっちゃ早口で喋るオタクみたいになっちゃった。

なんかラストは色んな説あるっぽいけど個人的には家のタイムループ的な機能にはるかが組みこまれちゃったのかなーと。次のシーズンではこのあたりのもやもやしたのがすっきりする話ならいいけどしないならしないでホラーっぽくていい気もする。

個人的には突然ドーン!みたいな音で驚かしてくる、いわゆるジャンプスケア的な演出がなかったから結構快適に見れたけど、代わりにそれなりのグロ描写やら精神的にきつい所が何か所かあるからその辺が大丈夫な人にはそれなりにおすすめ。